2013年10月16日水曜日

Bonjour! Trip to French Canada4

こんばんは! オーナーのAkiraです。


しつこく引っ張ってきた完全Private旅行も遂に最終日♪ こりずにどうぞ!


快晴のFairmont Le Château Frontenac


 育ってきた環境のせいか、私には物音や震動に対してどこか鈍感な部分がある。つまり、ちょっとやそっと騒がれたぐらいでは全く睡眠の妨げにならないのである。かつて旅人であった私にとって、それはあまりにも致命的な欠点なのではないだろうか、とも回想する。

 そんな私が何故かこの日だけは、彼方から聞こえる微かな擦過音で目が覚めてしまった。

「あ、おはようございます」

 そこには、すでにほとんどの支度を整えて、余裕の表情で歯磨きをするDaiki氏の姿があった。

「早いですね」

「いい天気ですよ」

「え?」

 思わずベッドの上から窓に目を凝らした。しかし、私のいる少し奥まった位置からでは、ほこりや汚れといった天然のフィルターが付着した窓を通して向かい側の建物の壁しか見えないため、本当に晴れているのかそうでないのか判然としなかった。


城下町のような風情が漂う


 旧市街の観光をしながらCoach terminalへと向かう。同じ場所を見ても昨日とまるで違うように感じるのは、とても天気のせいだけとは思えなかった。しばらくはもう上らないであろう坂道を振り返り、連なる建物の屋根の間から突き出たFairmont Hotelを見上げる。晴れ渡る空のもと、石造りの家並みがただ美しかった。

 Montrealへ向かうバスの車中、私は不思議な夢を見たような気がしていた。夢の中の私もバスに乗っており、窓の外へと目を向けていた。バスが大きな橋に差しかかったとき、きらきらと日のひかりが反射する川面の上に、巨大な球状の物体が浮かんでいるのが見えた。奇妙に思えたのは、それが骨組みだけで出来ていたところだ。


夢の景色をDigital念写


 我々がMontrealへと再び戻ってきたのは、すでに昼食の時間を大きく外れた午後3時。Toronto行きのバスが出るまで残り4時間。我々に自由が許されるのは、正味3時間半といったところだろう。

 某有名ガイドブックに書かれていた活気の無い骨董街を歩いて流し、若者が集まるという名ばかりのArtなSpotへと足を運び、催してきた尿意を抱えながらトイレを探して右往左往しているうちに、いつのまにか時刻は午後6時をまわってしまっていた。


Notre-Dame Basilica奥の礼拝堂


 見かけのわりに物事に慎重な我々は、バスの出る40分以上も前にCoach terminalへと到着したため、この4日間にわたる旅中の出来事を話したり、Torontoに思いを馳せたりして静かに出発の時を待つことにした。

 ところが、旅人のカンとでも呼ぶべきものであろうか、私は何か良からぬ思いにかられて時刻表が表示されているScreenを独り凝視していた。

「…………無い」

 トイレから戻ってきたDaiki氏を見るなり、

「大変です。時刻表にToronto行きが無いんです」

「え?」

 Daiki氏をScreen前まで引っ張るように連れて行く。

「ほら、あれ見てくださいよ」とScreenを指差し、「ちょっと窓口で聞いてみます」と言うが早いか、私は走り出していた。

「Bonjour」

「梵ジュー! Um...excuse me, is this ticket's bus departure from here?」

 窓に貼付けたTicketを係員が覗き込む。

「No」

 とっさに近くの時計に目を向ける。バスが出発する午後7時まで、残り20分強。距離的に間に合うかどうかは別として、とにかく係員に駅名とアクセス方法を訊ねた。

身銭を切って入ったNotre-Dame Basilica内部大公開!

 
 Bonaventure駅へ行かなければならないところを、何を血迷ったのか我々はBerri-UQAM駅へと来てしまっていたのだ。いや、Coach terminalへ行くのはBerri-UQAM駅からで間違いない。「全ての長距離バスはCoach terminalから発着しているに違いない」という先入観からくる思い込みによるSelf trap。そう、我々が乗る予定のバスは「Coach terminalから発着していない」のである。

「走りましょう」

 他の誰かにとっては焦る場面なのだろう。慌てて荷物を取り落としてしまう人もいるかもしれない。頭の中が真っ白になって立ち尽くしてしまう人もいるかもしれない。

 だが、我々は違った。

 Berri-UQAM駅へと続く長い通路を駆けながら、Daiki氏の横顔を盗み見る。そこには困惑の色が浮かびつつも、どこかこのTroubleを楽しんでいるような顔があった。きっと私も同じような表情をしていたに違いない。

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